
おたけの郷ブログ
【施設長ブログ】 忘れない事 行動する事
高齢になってくると「咀嚼(そしゃく 噛む力)機能」と「嚥下(えんげ 飲み込む力)機能」が低下し、通常のお食事を召し上がる事が困難になってくる方がいらっしゃいます。
そのような方々への対応として、ご飯はお粥やミキサー状にした物、おかずはかなり細かく刻んだ物やこれまたミキサー状にした物を提供させていただく形となっています。
ちょうど1年前。
クリスマスのお祝いという事で皆さんでお寿司を注文しました。
ですが前述した通り、咀嚼・嚥下機能が低下している方は通常のお寿司を召し上がる事が難しいため、ネギトロを注文し召し上がっていただく事となっていました。
ちょうど1年前のクリスマスの昼食。
Aさんにネギトロをお渡ししたのですが、Aさんの目はまん丸。口は真一文字。絶句とでも言いましょうか…
「なぜ?どうして?私はお寿司じゃないの?この赤いグニャグニャしている物(ネギトロ)は何?」とでも言わんばかりの表情。
本当であればお寿司を召し上がっていただきたい。けれども窒息してしまう可能性もあるためそれは難しい。だからせめてネギトロを召し上がる方から通常のお寿司が見えないように、と工夫はしていたのですが、どうやらAさんからはマグロやハマチが見えていたようで…
ちょうど2か月前の11月中旬。
あるユニットリーダーが僕に声をかけてきました。
「実は去年のクリスマス、Aさんにネギトロを提供したところ、とても寂しそう・辛そうな表情をされていた。どうしてもそれが忘れられない。今年は咀嚼・嚥下機能が低下した方にもお寿司を召し上がっていただけるよう工夫したい」
と。
そこからユニットリーダーは調べに調べまくり、動きに動きまくり、今年のクリスマスのお昼はこんな感じ。




普通のお寿司とは若干見た目も味も異なるかもしれませんが、それでも「お寿司」を召し上がっていただく事ができました。
この業界に勤めていると「本当はもっと〇〇してほしい」という想いを持つ事が多々あります。けれどもその想いを形にする事が仕組み的に難しかったり、中には想いを持つのみに留まってしまう事があるのも事実です。
そんな中、今回企画をしてくれたユニットリーダーは、自身が感じた気持ちを忘れる事なく過ごし続け、形とし、そして入居者の方に喜んでいただく、といった姿を創りあげました。
シンプルに素敵ですよね。
忘れずにいる、という事ももちろんですし、形にしようと思い行動し続ける姿が。
きっとどの仕事にも必要な姿勢なのでしょうね。
さっ、次はどんな企画があがってくるのでしょうか(笑)
毛呂征也